日本消化器内視鏡学会北海道支部長就任の挨拶

斉藤支部長の顔写真 北海道支部長 山野 泰穂

この度、前支部長・齋藤裕輔先生の後任として2020年6月より日本消化器内視鏡学会北海道支部長を仰せつかりました札幌医科大学医学部消化器内科学講座、同附属病院消化器内視鏡センターの山野 泰穂(やまのひろお)です。

日本消化器内視鏡学会北海道支部は1959年(昭和34年)10月に創設され、60余年に渡る先人のあゆみ、歴史を通じて現在に至っています。北海道にはフロンティア・スピリットや先進的な気風が溢れており、内視鏡分野においても例えば、直視下での局所注射の実施(1968年)、生検鉗子を利用した高周波電気メスによるポリープ切除(1971年)、ESD(Endoscopic Submucosal Dissection)の礎と言っても過言ではないERHSE(Endoscopic Resection with local injection of Hypertonic saline-Epinephrine)(1983年)は北海道で生まれた手技ですしESDの開発にも本道出身者が深く関わっていることからも推し量れます。

このように歴史ある支部の支部長を拝命することは大変名誉なことであると同時に、1,400名を越える支部会員に対する責任の重大さも感じております。

さてわたしは、医師として6年目の時に更なる内視鏡の修行の場を求めて北海道を出奔し、以後23年間にわたり大腸腫瘍性病変に対する拡大内視鏡診断学を中心として国内外の多くの仲間と共に研鑽し、学会活動を通じて多くの知見を培って参りました。また数多くの内視鏡ライブデモンストレ−ションのデモンストレーターや全国的規模の研究会の世話人としての役目も担ってきました。そして縁あって2016年秋に故郷である北海道に帰参しました。わたしは、この“旅”を通じて「固定概念や観念に捕らわれることなく疑問をもち、真理を見据える」ことを学び、様々な分野や人材とコラボレーションすることの素晴らしさ、そして「環境が人を育てる」ことを体感してきました。このような経験を基に私が目指す支部運営では、フロンティアスピリットをもった人材育成と内視鏡医学を発展させる環境、機会を整えることを重視した支部運営を目指すことを掲げたいと考えます。
そのための具体案としては、

1 洗練された症例検討会の創設(病理・遺伝子学的解析も含めたディベート)
2 共同の臨床研究事業の創設(translational researchなど)
3 先端的内視鏡機器に関わる知識・技術の積極的な紹介・導入および援助
4 ハンズオントレーニング(診断の実際から治療、標本処理まで)の充実
5 内視鏡を取り巻く環境整備とモデル内視鏡ルームの公開

これらを実施することで北海道内はもとより道外からも若い医師、研修医たちが集い、彼らと共に歩むことで我々自身も成長できると考えます。
そして新専門医制度に準拠した消化器内視鏡専門医・指導医の育成や指導施設の増加にも繋がり、良質の消化器内視鏡診療を全ての患者さまに提供することは勿論、北海道支部全体の活性化が得られると確信しています。

最後に、現在われわれはSARS-CoV-2による感染(COVID-19)禍にあり、誰もが経験のない困難さに直面しており内視鏡診療も例外ではないことを痛感しています。しかしこのような状況であっても、社会における内視鏡の役割を見据えつつ北海道支部会員の皆さまのご支援とご協力を頂戴して新たな北海道支部としてのあゆみを一歩ずつ進めて参りたいと考えております。浅学非才の身ではありますがパッションをもって鋭意努力することを誓い、就任のご挨拶と致します。

2020年6月